バルセロナ観光で、サグラダファミリアと同様に必見のガウディ建築のひとつ、カサ・バトリョ。ユネスコの世界遺産にも登録されている、海をイメージした幻想的なデザインと曲線を生かした美しい外観が特徴的なモダニズム建築です。メトロのPasseig de Gràcia駅からすぐのグラシア通り43番地にあり、アクセスも抜群。ライトアップされた夜のカサ・バトリョはさらに幻想的で美しく、フォトスポットとしても人気。カサ・バトリョの前は昼夜問わず観光客で溢れています。ホームページから事前にチケットを購入しておくことをおすすめします。


ガウティのカサ・バトリョのファサード

バルセロナのメインストリート、グラシア通りにあるカサ・バトリョはアントニ・ガウディがジョセップ・バトリョ氏の依頼を受け改築した建物です。カサ・バトリョの横にも、著名な建築家によるユニークなモダニズム建築が並びます。

カサ・バトリョはウロコ状の屋根をドラゴン、その横にそびえる塔の先端を剣の柄に見立て、カタルーニャの守護聖人サン・ジョルディの伝説を表現していると言われています。また、建物全体で水辺の風景を表現した作品と解釈されることも。

カーニバルの仮面のようなバルコニーの手すりを見るたびに、ティム・バートンのNightmare before Christmasのジャックを思い出します。

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Casa Batllo カサ・バトリョの昼と夜

カサ・バトリョはバルセロナにあるガウディ建築の中でも、特に人気の高い観光名所のひとつ。ユネスコの世界遺産にも登録されています。夜のカサ・バトリョはライトで照らされて、さらに幻想的な建物に!


カサ・バトリョの見学とチケットの種類

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カサ・バトリョの「一般見学チケット」は、ブルー、シルバー、ゴールド、プラチナの4種類。午後の「一般見学」には、全てのチケットにカヴァ(スペインのスパークリングワイン)がグラス一杯付いている時間枠もあります。

入り口の前は、チケットの種類と入場時間ごとに区切られ、予約した入場時間になるまで並んで待ちます。時間になると順番に案内されて階段を下り、オーディオガイドを受け取ります。全てのチケットに多言語のオーディオガイドが用意されていて、日本語も選べます。

バルセロナには何回も来ていますが、カサ・バトリョに毎回行くことはないので、ゴールドチケットを購入しました。

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ゴールドとプラチナ購入者は、最初に没入型ガウディードームへと案内されます。ここは幼少期のガウディの夢と想像の世界を鮮やかなイルミネーションで表現した部屋。ディズニーランドに来たような錯覚に陥ります。

ちなみに、チケットの種類と見学可能範囲は以下の通り。ブルーは建物とガウディキューブ、シルバーはブルーにドラゴンの屋上の見学が加わります。

ゴールドとプラチナは、シルバーの内容に加え、内装をイメージ画像で比較できる「拡張現実タブレット」が付き、ガウディードーム、バトリョ家のプライベートレジデンスとコンシェルジュの見学も含まれます。豪華なバトリョ家のレジデンスの様子は後半でご紹介します。

プラチナチケットには、さらに優先入場券、日付変更とキャンセル無料の特典が付きます。その分ゴールドより10ユーロ高くなります。


カサ・バトリョのエントランスホールへ

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エントランスホールにあるコンシェルジュ。当時の様子を復元した調度品が置かれていて、とても趣があります。

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中央パティオから見下ろしたコンシェルジュ。オレンジ色のレトロな灯りがやわらかく映えて、曲線の美しい内装に彩りを添えています。

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コンシェルジュの前から見上げた中央パティオ。淡いブルーのタイルは上に行くほど深いブルーになります。


グラシア通りに面する大きな窓があるメインフロア

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コンシェルジュからエントランスホールに進み、バトリョ家の専用玄関へ。背骨のようなデザインの階段はメインフロアへと続きます。

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専用玄関の明かり取りでもあるステンドグラス。ここに拡張現実タブレットを向けると、このステンドグラスが2匹のカメになり泳ぎ出します。淡い光に包まれた専用玄関フロアから階段を登り、カサ・バトリョのメインフロアへと進みます。

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キノコ型の暖炉にタブレットを重ねてみました。すると、暖炉の火が灯ります。キノコの中には二人掛けのベンチと、その向かい側に一人掛けのベンチがあります。

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メインサロンはグラシア通りに面しています。道行く人々に、贅沢な暮らしぶりを見せることが当時のステイタスでもあったとか。SNSで誰でも盛れる現代とは異なり、リアルな現実の勝者です。

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バトリョ家のメインサロンにあるこの大きな窓は、現代のデジタルサイネージのように、道を行く人々の視線を引き寄せていたようです。リアルで華やかな暮らしぶりを垣間見ることができる、スクリーンや大画面のような窓だったのかもしれません。

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タブレットをかざすと、広いメインサロンに家具が置かれた様子を見ることができます。

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波打つ天井とシャンデリアも豪華です。

バルセロナ 観光 ガウディ

建物内に光を取り入れ、空気を循環させることを重視したガウディの工夫が、ドアや天井など随所に見られます。


カサ・バトリョの青い中央パティオ

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中央パティオに貼られたタイルは、天窓に近づくにつれブルーの色彩が濃くなり、窓は小さくなります。光が届きにくい下の階は、淡い色のタイルと大きな窓を設置して、より多くの光が差し込むように作られています。

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上部の深いブルーのタイルを見上げると、まるで海底から水面を眺めているような感覚に。

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この中央パティオもまた、ファサードと同様に幻想的な美しさを放っています。

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深いブルーのタイルが数多く貼られ、濃淡のグラデーションが美しい最上階。

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中央パティオには、ガウディが設置したエレベーターが今でも使われています。その手前にある手すりは、厚みが異なるガラスパネル製。ガラスの模様も素敵ですが、ここにもガウディのこだわりが。

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このガラスごしにパティオを覗いてみると、ゆらゆらと波打つ水面から水中を眺めているような感覚に。

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あまりにも美しいので、更に上の階からも覗いてみました。


プライベートダイニングルームから広い裏庭へ

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メインサロンから細長い廊下を進み、プライベートダイニングルームへと進みます。建物を支えるために不可欠な柱が、オブジェのように2本並んで天井まで伸びています。

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外から眺めると、2本の柱はかなりの存在感があります。

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タイル張りの裏庭は、陶磁器やガラスで彩られた装飾が施されています。

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植木鉢は全て青いタイルで統一され、壁にはガウディらしい装飾も。


復元されたバトリョ家のプライベートレジデンス

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20世紀初頭の家具や調度品で復元されたレジデンスの室内。ここは壁で仕切られておらず、ベッドルーム、バスルーム、書斎、リビングルームが一体となった開放的な空間になっています。ベッドの横のバスタブはもともとこのように設置されていたのか、それとも当時のバスタブとして展示されたものなのかと、ふと気になりました。

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木目の美しいベッドは、窓から離れた部屋の奥に置かれています。

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書斎コーナーには古い壁掛け電話やタイプライターが。

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光が差し込む大きな窓は裏庭に面しています。

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広々としたリビングの奥には楕円形の大きな食器棚が置かれています。上部が鏡張りになっていて、天井のライトが映り込むことで、空間がいっそう広く感じられます。

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バトリョ家のプライベートレジデンスの窓からは裏庭の様子が伺えます。


ランドリールームのあるカサ・バトリョの屋根裏

屋根裏のカテナリーアーチの天井は、「クジラの屋根裏」と呼ばれるカサ・ミラの屋根裏部屋を思い出します。

ガウディ カサ・バトリョ

カサ・ミラの屋根裏部屋のような、剥き出しのレンガ作りではないものの、形状が似ていて幻想的な空間です。

入居者のためのランドリールームや倉庫があります。洗濯が楽しくなりそうです。

曲線が美しい、屋上への階段。

ガウディ カサ・バトリョ

メタル製のシンプルな黒い手すりが、白い空間に素敵なアクセントを添えています。

ガウディ カサ・バトリョ

螺旋階段を支える柱の上部はライト。こんなところにも可愛らしいタイルが貼られています。


屋根裏から屋上へ

ガウディ カサ・バトリョ

ドラゴンの背中と呼ばれるカサ・バトリョの屋上。確かに、煙突の向こうにドラゴンが横たわっているようにも見えます。

ガウディ カサ・バトリョ

屋上からグラシア通りを見下ろすと、写真を撮っている人たちが小さく見えます。屋根瓦は鱗のようです。

ガウディ カサ・バトリョ

内部への空気の逆流を防ぐために曲げてある煙突。そして、印象的な曲線とタイル張りの模様。

隣のカサ・アマトリェールの屋上には椅子とテーブルが。この家は、日本でも「アマリエ・チョコレート」として知られる、スペインで最も古い老舗チョコレートメーカーの創業者一家、アマトリェール家の三代目アントニ・アマトリェールが購入したものです。彼が建築家プッチ・イ・カダファルクに改築を依頼し、現在も残るモダニズム建築となりました。

ちなみに、1990年代以降のカサ・バトリョの所有者はあのロリポップ、チュッパチャプスの創業者。現在はチョコレートとロリポップがお隣同士です。


日本の建築家が設計したカサ・バトリョの地下に続く階段

ガウディ カサ・バトリョ

屋上の見学を終えると、ギフトショップと地下一階のガウディキューブまで続く階段へ。このかつての非常階段を銀色のアルミのチェーンで装飾したのは、日本の建築家、隈研吾 氏。

隈研吾

波のようでもあり、魚の鱗のようにも見える銀色の鎖が、7階から地下1階まで緩やかなウェーブを描きながら連なり、ゆらゆらと微かに揺れていました。

隈研吾 カサ・バトリョ

ところどころで室内の光を受けて色づき、幻想的な空間を生み出しています。

カサ・バトリョ

銀色の世界から、地上階のギフトショップへ。そしてさらに地下に降りるとガウディーキューブに案内されます。上映されるのはレフィーク・アナドル氏によるデジタルアート作品。天井・壁・床まで360度の映像と音楽を楽しめます。

カサ・バトリョ

一面鏡に覆われた壁と、銀色の鎖が揺れるカーテンの間を抜けて出口へ。外に出ると、ガウディの世界から再び現実のバルセロナに戻ってきたような感覚に包まれました。

ガウディ建築:バルセロナ観光で必見!ガウディ建築カサ・ミラの魅力
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