ヘレンキームゼー城は、南ドイツのバイエルン州の美しいキーム湖に浮かぶヘレン島に佇む壮麗な宮殿です。フランスのヴェルサイユ宮殿に魅せられたルードヴィッヒ2世が、その栄華を再現しようと建てた夢の城。キーム湖はミュンヘンとザルツブルクのほぼ中間に位置しています。避暑地としても人気があり、夏には多くの観光客が訪れます。
今回の旅行では、ドイツとフランスを訪れました。ヘレンキームゼー城とヴェルサイユ宮殿を、同時期に見比べてみたいと思ったのがきっかけです。見比べ写真もご覧ください。
キーム湖:🇩🇪Chiemsee
ヘレン島:🇩🇪Herreninsel
キームゼー鉄道の駅があるプリーン・アム・キームゼーからヘレン島へ

キーム湖に浮かぶ3つの島のひとつ、ヘレン島。島には、キームゼー鉄道の駅があるプリーン・アム・キームゼーから遊覧船で向かいます。お城までの、遊覧船の旅も楽しめます。

途中、船の上からはキーム湖に浮かぶ島が見えます。一番小さなクラウト島、フラウエンヴェルト女子修道院があるフラウエンキームゼー島の姿も。島を巡る晴れた日の船旅も素敵です。
フラウエンヴェルト女子修道院:🇩🇪Abtei Frauenwörth
フラウエンキームゼー島:🇩🇪Frauencheimsee Insel
緑豊かなヘレン島では馬車か徒歩でお城へ

そして、遊覧船はヘレン島へ。船着場からお城までは、緑豊かな風景を眺めながら、馬車で向かうことができます。とはいえ、歩いても15分ほどの道のり。緑に囲まれた小道を、ゆっくり散歩しながら行くのもおすすめです。

ヘレンキームゼー城では、ぜひ内部の見学を。ただし、写真撮影は禁止。そのため、ヴェルサイユ宮殿より8mも長い鏡の間や、ルードヴィッヒ2世の壮麗な寝室は、しっかりと記憶に焼き付けておくしかありません。
ヘレンキームゼー城とヴェルサイユ宮殿を写真で比較


フランスの「太陽王」ルイ14世が1682年に着工したヴェルサイユ宮殿は、完成までにおよそ50年の歳月を要しています。
それからおよそ200年後の1878年に、ヘレンキームゼー城の建設が始まります。彫刻などの細部に至るまで、ヴェルサイユ宮殿を忠実に模しています。その一方で、当時のヴェルサイユ宮殿には無かったトイレや暖房などの近代的な設備が整っています。時代の違いもありますが、新しい技術を好んで採用したルードヴィッヒ2世ならではのお城です。
しかし残念なことに、ルードヴィッヒ2世の死後に建設は中止となりました。そのため、内部で完成したのは70部屋のうちわずか20部屋。また、当時建設途中だった翼棟の左翼部分は1907年に取り壊され、現在は中央のみが残されています。


城の正面から庭を抜け、湖までまっすぐ伸びる約900mの道。その中央にあるラトナの噴水も、ヴェルサイユ宮殿の様式を模して造られています。
ただ、湖畔に予定されていた船着き場とともに、この噴水も未完成のまま残されました。ラトナの噴水も、完成していればヴェルサイユ宮殿のように金色に輝いていたのでしょうね。
ヘレンキームゼー城へのアクセス
今回の旅行では、ドイツのヘレン島とフランスのヴェルサイユを訪れました。「太陽王」と「月の王」の宮殿を、同時期に見比べてみたいと思ったのがきっかけです。
実際に見比べてみると、この宮殿の建設に込めたルードヴィッヒ2世の、「太陽王」への強い憧れが実感として伝わってきます。それと同時に、時代の流れとともに変化していった王室の姿や、その在り方についても深く考えさせられました。ルードヴィッヒ2世の、自ら輝けない「月の王」という喩えがとても切なく響きます。
ちなみに、ルードヴィッヒ2世が建てた城は、ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、ヘレンキームゼー城の三つです。さらに、ルードヴィッヒ2世ゆかりの城として、ニンフェンブルク城とホーエンシュヴァンガウ城が挙げられます。これまでの旅を通して、これらすべての城に実際に訪れることができました。
所在地:Schlosspark Herrenchiemsee, 83209 Herrenchiemsee, Germany
アクセス:プリーン・アム・キームゼー駅(Prien am Chiemsee)から遊覧船
ヘレンキームゼー湖畔で立ち寄ったドイツ料理レストラン


ヘレン島からプリーン・アム・キームゼーに戻ったあとは、ホテル・ノイヤー・アム・ゼーのレストランへ。ここでは、本格的なドイツ料理を味わえます。キーム湖で獲れる新鮮な魚もメニューにあります。また、カフェとしても利用できるので、ティータイムに立ち寄るのもおすすめです。
写真は、この日の「日替わりおすすめ料理」。鴨のローストに、カルトッフェル・クヌーデルと紫キャベツを添えた一皿。ちなみに、クヌーデルはもっちりとしたジャガイモ団子。イタリアのニョッキを大きくして丸めたようなお団子で、主に肉料理に添えられます。メニューに「じゃがいも」か「クヌーデル」の選択肢があったら、ぜひクヌーデルを選んでみてください。
ホテル・ノイヤー・アム・ゼー:🇩🇪Hotel Neuer am See
シュニッツェル:🇩🇪Schnitzel(ドイツのとんかつ)
カルトッフェル・クヌーデル:🇩🇪Kartoffelknödel
紫キャベツ:🇩🇪Rotkohl
※日本語では紫ですがドイツ語では赤 rot です
Hotel Neuer am See
所在地:Seestraße 104 83209 Prien am Chiemsee, Germany
アクセス:プリーン・アム・キームゼー駅(Prien am Chiemsee)から
