更新日2025-06-13   公開日2020-08-15

ピサの斜塔で知られるピサは、ドゥオモ広場を中心に構成される建築群が「ピサのドゥオモ広場」としてイタリアの世界遺産に登録されています。見どころがドゥオモ広場に集中しているため、観光は半日から一日でも十分に楽しめます。フィレンツェからの日帰り旅行も可能です。

予約制で登れるピサの斜塔の上から望む360度の眺望は息を呑む美しさ。オレンジ色の屋根が連なる街並みと、遠くに広がる緑豊かなトスカーナの風景が一望できます。そしてここはガリレオ・ガリレイの生誕地。世界遺産とあわせて、ピサ市内のガリレオゆかりの地のを巡る旅もおすすめです。


ピサの斜塔へ続く、ガリレオの足跡をたどる散策ルート

イタリアの世界遺産「ピサのドゥオモ広場」にある「ピサの斜塔」は、大聖堂、洗礼堂、墓所回廊(カンポサント)と共に登録された鐘楼です。傾いた姿で知られるこの党へは、フィレンツェから日帰りでもアクセス可能。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からイタリア鉄道トレニタリアのRV(Regionale Veloce)で約1時間、普通列車(Regionale)でも1時間20分ほどでピサ・チェントラーレ駅に到着。

ピサ・チェントラーレ駅からドゥオモ広場までは徒歩で20分ほどですが、途中ピサの街を散策するのもおすすめです。

まずは、ガリレオ・ガリレイゆかりの地へ。母方の祖父母(Ammannati家)が住んでいた、ガリレオ生誕の家はVia Giuseppe Giusti 26。そして、そのすぐ近くにはガリレオが洗礼を受けたサンタ・アンドレア(Saint Andrea)教会。さらに、ガリレオの両親が当時暮らしていた家がBorgo Stretto 30に。歴史漂う町並みを歩きながら、斜塔のある広場へと向かいます。

ピサの斜塔と堕天使の彫刻

ピサ・セントラーレ駅から市内を散策しながら歩くと、やがて「ピサのドゥオモ広場」の入口に到着。そして、最初に目の前に現れるのが世界的に有名なピサの斜塔です。ピサの斜塔は傾きが5.5度、高さは58.36m。

斜塔に登るには人数制限があるため、事前にオンラインで予約しておくと安心です。カンポサントに隣接する黄色い建物にチケットオフィスがあり、当日券を購入することも可能です。ただし混雑時は売り切れることも。そのため、我が家は、旅程に合わせて登りたい時間を予約してから行きました。

ピサの斜塔とチケット売り場の間の広場には、印象的なアート作品が。美しい「堕天使の像」が横たわっています。後頭部と腕や足のない堕天使。背中の羽にも顔が彫られています。この堕天使はポーランドの彫刻家、イゴール・ミトライの作品です。夕日に照らされ、鮮やかなオレンジ色に。そして、天使の表情もやわらぎます。


ピサの斜塔の傾きを体感!360度のパノラマ絶景も!

ピサの斜塔、世界遺産

ピサの斜塔の呼び名で知られる、この鐘楼は白い大理石で造られています。最上階に登ると、その傾きを体感できます。高さは58.36m。決して高くはないものの、傾いている南側では、傾斜による不思議な浮遊感と、身体が重力で下へと引かれるような感覚に。鐘楼の北側からは、先ほどの堕天使の彫刻がとても小さく見えます。

写真のとおり、鐘楼まで続く螺旋階段も大理石です。年月とともに中央がすり減り、滑りやすくなっています。登っている最中も、傾いている方向に引っ張られるような感覚が。そのため歩きやすく、滑りにくい靴で行くのがおすすめです。

ピサの斜塔、世界遺産

最上階には、大きな鐘が5つと小さな鐘が2つあり、それぞれ音色が異なります。この鐘を鳴らすと振動で塔が更に傾く可能性があるため、現在は鐘を鳴らさずスピーカーから鐘の音を流しています。ピサの斜塔が傾いた原因は地盤。南側の土が柔らかく、建設当初から塔は少しずつ傾き始めていました。その後、補強と修正を重ね、現在は基礎がセメントで強化されています。それでもなお、鐘を鳴らせない鐘楼です。

ピサの斜塔、世界遺産

なお、大聖堂や礼拝堂などの建物は時間により閉まっていることがあるので、各建物の入口に書かれた入場時間の確認を。今回の旅行では、ドゥオモ広場の大聖堂、洗礼堂、カンポサントを順番に見学。そして最後に鐘楼・ピサの斜塔へ。夕日に照らされた美しいピサとトスカーナの風景を満喫。ピサでの一日を優雅に締めくくりました。


大理石の回廊型墓所カンポサントと死のフレスコ画

アーチ型の柱で囲まれた大理石の回廊型墓所「カンポサント」は、1277年に建てられました。14世紀には、当時の著名な画家たちによるフレスコ画で壁面が飾られます。第二次大戦中の爆撃により破壊されましたが、現在は建物もフレスコ画も丁寧に修復されています。

写真は「三人の生者と三人の死者」や「死の勝利」へと続く「最後の審判」と「地獄」の一部。丁寧に修復されたこれらのフレスコ画は、2018年6月にカンポサントの元の壁面に戻されました。

ペストの流行後に描かれたこのフレスコ画から、黒死病と直面した中世の人々の祈りと死への恐怖が伝わってきました。


ピサの大聖堂の魅力!黄金の天井とガリレオのランプ

ピサの大聖堂は十字型をしたロマネスク建築。正面ファサードの中央扉の上部には「聖母と四天使」のモザイクが埋め込まれ、その上を4層のアーチと柱が美しく飾ります。大聖堂の中は広く、メディチ家の家紋が彫られた豪華な黄金の天井やレリーフの美しさに目を奪われます。内装は細部まで装飾が施され、繊細な彫刻やモザイクをじっくり鑑賞するには、ある程度の時間が必要です。

ピサの斜塔、世界遺産

ドゥオモの中央に、高い天井から吊るされたシャンデリアのようなランプがあります。写真手前の、ピンクのTシャツを着た女性が見上げているランプが「ガリレオのランプ」と呼ばれています。しかし、設置されたのは1587年で、ガリレオが1583年に「振り子の等時性」を発見した後です。実は、かつてガリレオがその着想を得たとされる初代の小さなランプは、今はカンポサントのアウッラ(Aulla)礼拝堂に設置されています。

「ガリレオのランプ」の背景にある中央祭壇の上には、金色に輝く「玉座のキリスト」のモザイクが。そして、その左横にはジョヴァンニ・ピサーノが手がけた美しい説教壇があります。繊細な彫刻が施されたこの説教壇は、彼の代表作のひとつとしても知られています。

ライトアップで魅せる!夜のピサの斜塔とドゥオモ

ピサの斜塔、世界遺産

夜になると、ドゥオモ広場の建物はすべてライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気に包まれます。白い大理石が照明に照らされ、夜空とのコントラストも印象的。また、観光客も日中より少なく、静かな時間をゆっくりと楽しめます。

ピサは半日から一日で観光できるコンパクトな町。世界遺産のドゥオモ広場はもちろん、斜塔やカンポサント、大聖堂、洗礼堂など見どころが凝縮されています。イタリア旅行で立ち寄りたい魅力的な場所です。


ピサの斜塔とドゥオモ広場の基本情報

ドゥオモ広場の建築物:
鐘楼(ピサの斜塔)、大聖堂、洗礼堂、墓所回廊(カンポサント)
住所:Piazza Duomo 17, 56126 PISA
アクセス:ピサ・チェントラーレ駅からドュオモ広場まで徒歩約20分