スイスのチョコレートといえばトブラローネ。スイス育ちの義父がいつも自宅に常備していた懐かしいチョコレートでもあります。この三角形のチョコレートが連なるトブラローネに似た形の対戦車障害物が放置されている場所があります。その名も「トブラローネの道」。かつては戦争のために作られたものですが、今では美しい自然の中を歩きながら歴史を感じられるハイキングコースとして親しまれています。
巨大なコンクリートが並ぶ「トブラローネの道」
第二次世界大戦中、スイスのバッサン(Bassins)からニオン(Nyon)にかけて設置された対戦車障害物。この大きなコンクリートブロックが連なる姿が、スイスの有名なチョコレート「トブラローネ」によく似ているので「トブラローネ」と愛称で呼ばれています。
この対戦車障害物が撤去されずに残された場所が「トブラローネの道 (Sentier des Toblerones)」です。「トブラローネの道」には現在も約3000個もの三角形のコンクリートの塊が連なっています。この道はジュラ山脈の麓からレマン湖まで約10kmにわたって続き、自然の美しさと歴史を同時に楽しむことができます。かつての対戦障害物にはコケやツタが生え、周囲の動植物にとって理想的な生息地になっているこの場所に、トブラローネとして溶け込んでいます。
ニオンから「トブラローネの道」へのアクセス
スイスのジュネーブから電車で15分ほどの町「ニオン(Nyon)」から「トブラローネの道」へ出かけました。まずは、ニオンからバスに乗り、バッサンのLa Cézilleバス停で下車。そして、車道に沿ってニオン方面へしばらく歩き、森へつながる道を降りるとハイキングコースへと続きます。地元に住むドイツ人の友人がオススメしてくれたルートです。La Combe川とLa Serine川の合流点に近い、La Serine川沿いに巨大な三角形のコンクリート対戦車障害物が散在する姿を見ることができます。
レマン湖の近くからも「トブラローネの道」へ入ることもできますが、トブラローネがまとめて置いてあるところは稀だそうです。なので、この合流点付近のトブラローネを見ることができたのは貴重な体験でした。
このコンクリートの塊を抜けると、対戦車障害物がチョコレートのトブラローネのように並ぶ川沿いの道に出ます。トブラローネの道には所々に黄色い矢印があり、この矢印に従って歩きます。
小さなスイスの村ヴィックから再びトブラローネの道へ
ニオンからのバスで一度通り過ぎた小さな村ヴィックに着くと、ハイキングコースは一度川沿いからはなれます。この先は町の中心のバス停があるロータリーまで歩きます。バス停の後ろにある、カバード・ブリッジの横から黄色い目印が示すプランジャン(Prangins)方面へと進みます。
橋の横を降りると、再び川沿いにトブラローネが並ぶ静かな森の道が続きます。そのため、川のせせらぎが心地よく響きます。
スイスの町グランから草原の境に並ぶトブラローネへ
ヴィックからグラン(Gland)へ向かう途中で再び町中を歩きます。そして高速道路上の橋を渡りしばらく歩くと、広い草原と森の境に規則的にずらりと並ぶトブラローネが見えてきます。広大な草原ですが、この写真では距離感が伝わりにくいかもしれません。
そこで、人物が写っている写真がこちら。コンクリートのトブラローネの高さは170cmほどです。年月を経て色がくすみ、設置当時よりもさらにチョコレートのトブラローネに似てきたようです。並べてあるので、まさにトブラローネです。
スイス チョコレートのトブラローネと記念写真
こちらは「トブラローネの道」での記念撮影のために持参したトブラローネ。定番の黄色いパッケージのハチミツ・ヌガー味ではなく、ブルーのパッケージのクランチー・アーモンドを選びました。ちなみに、上に載せている白いミニ・トブラローネはホワイトチョコレートです。
トブラローネのチョコレートをパッケージから出してみました。実はこの状態で「対戦車障害物」と並べて写真を撮ればよかったと少し後悔しています。川辺でのランチ休憩を終え、さらに進みます。
スイスのハイキングコース「トブラローネの道」の美しい風景
「トブラローネの道」は、静かな森の中の川沿いや草原に続きます。この日は、川遊びやピクニックを楽しむ家族連れが何組か見られました。
ゴルフコースを横切り、さらに進みます。しばらくすると、プランジャンに近いレマン湖畔の狭いプロモントゥー・ビーチに着きます。ここが「トブラローネの道」の最終地点です。
小さなレストランの敷地内にあるビーチは多くの人で賑わっていました。飲み物はコーヒー、紅茶、ソフトドリンクの他カクテルも頼めます。そして更衣室のあるトイレも完備。ハイキングコース上にはトイレがないのでとても助かります。たくさん歩いた後の休憩場所として最適です。
その後、タフなドイツ人の夫と友人と共に、プランジャン城のスイス国立博物館へ。さらにニオン駅まで歩きました。
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