「富士山、桜、五重塔」の名所、山梨県の新倉山浅間公園。数ある富士山の絶景スポットの中でも、日本ならではの風景が一望できます。公園内の398段の階段をのぼると、富士山と周辺の山々のパノラマが目の前に広がります。その美しさから、海外のSNSでも頻繁に紹介される人気スポット。ドイツ人の夫が以前から行きたがっていた場所でもあります。そこで、4月初旬の晴れた日に、ドライブがてらに行って来ました。予想通り、展望デッキで写真を撮っているのは外国人観光客がほとんど。桜はまだツボミでしたが、富士山の美しさは格別でした。
富士山と桜と五重塔が織りなす和の絶景を一枚の写真に!

新倉山浅間公園(あらくらやませんげんこうえん)は、富士山と五重塔、そして桜を一望できる、日本ならではの絶景スポットとして海外でも知られています。絵に描いたような日本の風景です。

最初にこの場所を知ったのは、ヨーロッパの旅行代理店に貼ってあった日本旅行のポスターでした。海外でイメージする日本の風景を、一枚の写真に収めることができる最高のフォトスポット。まさに、日本への旅行喚起にうってつけの場所です。
新倉山浅間公園へのアクセス

新倉山浅間公園は山梨県富士吉田市浅間にあります。富士急行線の下吉田駅から約1キロの道のり。徒歩で10分ほどです。駅から歩いて公園まで向かう観光客を多く見かけました。

NARUTOを描いたカラフルな電車が通り過ぎていきます。電車旅も素敵ですが、今回は周辺の観光地にも立ち寄りたかったので、車を利用しました。新倉山浅間公園付近には、道路の曲がり角ごとに交通整理の方が立っていて、臨時駐車場へと誘導してくれました。臨時駐車場は、富士吉田市立下吉田第二小学校前にあり、ここから公園までは徒歩で約15分。駐車料金は無料です。
富士山にまつわる新倉富士浅間神社の社伝

入り口の表参道の前には、キッチンカーや小さなショップがあり、狭い空間は海外観光客で溢れていました。様々な言語が飛び交う中、聴き慣れたドイツ語はスルッと耳に飛び込んできます。その間を縫うように、表参道へ向かいます。

表参道の階段を登ると、新倉富士浅間神社へ向かう道へと続きます。

しばらく歩くと、「三國第一山」と書かれた大きな赤い鳥居が。三国は日本・朝鮮・中国で、富士山はこの三国の中でも第一の山という意味が込められているそうです。富士山信仰の歴史を感じます。

赤い鳥居に記されている通り、新倉富士浅間神社は三国第一山富士浅間神社とも呼ばれています。
社伝によると、富士山の大噴火に伴い、807年(大同2年)に平城天皇が朝倉富士浅間神社に勅使を遣わし、国の安泰と噴火の鎮静を祈る鎮火祭を行いました。この時、神社に天皇自らの直筆による勅額や破魔宝面、金弊が奉納され、「三國第一山」の称号が与えられたそうです。
ただし、富士山の大噴火が807年にあったという具体的な記録はないとか。記録に残る同年代のものでは、800年(延暦19年)の延暦噴火と、この時代の最大噴火とされる864年(貞観6年)の貞観大噴火があります。
富士山と桜の絶景への398段の階段

展望デッキまで続く398段の階段は、「咲くや姫階段」と呼ばれています。この愛称は、日本神話で最も美しい女神と言われる、富士山信仰の祭神・木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)にちなんでつけられました。
そのため、歴史ある古い石段を想像していましたが、実際に行ってみると、新しく整備された手すりもあるのぼりやすい階段でした。それでも階段は辛いと思う方は、新倉富士浅間神社から緩やかなスロープ状の道路を歩いて行くこともできます。
富士山・桜・五重塔の絶景を望む展望デッキの様子

398段の咲くや姫階段を上り切ると、展望デッキまで観光客の長い行列が続きます。ほとんどが海外からの観光客です。あいにく桜はまだ咲いていなかったものの、雲ひとつない青空。天候に恵まれ、並んで待つ間も美しい富士山を眺めることができました。五重塔まで続く桜が満開になると、さらに長い行列ができると思います。

展望デッキの最前列は写真の順番を待つ人たち、撮影する人たちで次から次へと入れ替わります。周辺には多彩な言語が飛び交います。一番上の段に座って、富士山と桜、五重塔がある風景を堪能している人たちも。

展望デッキからは180度の絶景が楽しめます。富士山や桜、五重塔だけでなく、周辺に連なる山々もため息ものです。
五重塔とスロープ状の道路

五重塔を見上げた風景。その背後にある絶景スポットの展望デッキまで、長い行列が途切れることなく続いているのがわかります。この五重塔は忠霊塔と呼ばれ、正式名称は富士吉田市戦没者慰霊塔。大阪の四天王寺の五重塔をモデルに設計され、日清・日露・第一次世界大戦・太平洋戦争で亡くなった方々の位牌が安置されています。

帰り道は階段ではなく、緩やかなスロープ状の道路を歩きました。通り沿いの店にゆらゆらとなびくのぼり。風に揺られるカラフルなのぼりが、富士山を望む和の空間に色を添えていました。
新倉山浅間公園からの富士山と桜、五重塔のある絶景を楽しんだ後は、富士山の見えるレトロな商店街と鳥居へ。その後、忍野八海へと向かいました。