オウィディウスの変身物語(Metamorphoses by Ovid)のラトナ神話に由来するラトナの噴水。ドイツの大学でラテン語の単位を取る際の必須課題本だった「変身物語」。ラテン語をドイツ語にひたすら翻訳していた日々を思い出します。
アポロとダイアナの母ラトナ。ジュピターの愛人としてアポロとダイアナを身ごもったため、ジュピターの妻ユーノーから国外に追放されます。出産後も逃亡を続けるラトナ。ある村でのどの渇きをいやそうと池に近づくと、ユーノーの命令に従う農民達がラトナにここから立ち去るようにと言い、池に入って澄んでいた水を飲めないように濁らせます。悲しみと怒りからラトナは天に願い、農民たちはカエルに変えられてしまったという神話。
ラトナの噴水では大理石でできたラトナと子供達に向けて、半分変身しかかった農民やカエルの口から水が吹き上がります。ラトナの神話をモチーフにして王に逆らうべきではないという意味を込めているそうです。
南ドイツのバイエルン州にあるルードヴィッヒ2世のヘレンキームゼー城にこのヴェルサイユ宮殿のラトナの噴水を模したものがあります。太陽王と呼ばれたルイ14世に対し自らを月の王 (Mondkönig)と呼んだルードヴィッヒ2世。
キームゼーへの日帰り旅行の記事も書いています。ヘレンキームゼー城とヴェルサイユ宮殿のラトナの噴水の写真をここから見比べてみてください。
(ラトナの噴水 撮影日:2017年8月11日)