更新日2024-06-25   公開日2020-08-15

斜塔で有名なピサは、ドゥオモ広場を構成する斜塔を含む建築物がイタリアの世界遺産に登録されています。見どころがドゥオモ広場に集中しているため半日から一日観光におすすめ。予約制で登れる斜塔の上は360度ピサの風景を見渡せる絶景スポット。ここから眺める街並みも圧巻です。ピサはガリレオ・ガリレイの生誕地でもあるので、世界遺産巡りだけでなくピサ市内のガリレオゆかりの地の散策も楽しめます。


フィレンツェから電車で行くピサ市内と世界遺産観光

イタリアの世界遺産に「ピサのドゥオモ広場」を構成する建築物の一つとして、大聖堂、洗礼堂、墓所回廊(カンポサント)と共に登録されている鐘楼「ピサの斜塔」。フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅からピサ・チェントラーレ駅までイタリア鉄道トレニタリアのRV(Regionale Veloce)で約1時間、R(Regionale)では1時間20分ほどで行けるので、フィレンツェ滞在中の日帰り観光にもピッタリです。

ピサ・チェントラーレ駅からドゥオモ広場までは徒歩で20分ほどですが、せっかくなので「ピサのドゥオモ広場」に直行せず、ピサの市内を観光しながら歩くのもおススメです。ガリレオ・ガリレイの母方の祖父母(Ammannati家)が住んでいたガリレオ生誕の家(住所:Via Giuseppe Giusti 26)と、そのすぐそばにあるガリレオが洗礼を受けたサンタ・アンドレア(Saint Andrea)教会。そして当時ガリレオの両親が住んでいた家(住所:Borgo Stretto 30)を探しながらピサ市内を散策してドゥオモ広場へ。

ピサ・セントラーレ駅方面から市内を巡り、ドゥオモ広場の入り口を入るとピサの斜塔が目の前に現れます。ピサの斜塔は傾きが5.5度あり高さは58.36m。斜塔に登るには人数制限があるため、事前に旅程に合わせて登りたい時間をオンラインで予約してから出かけると便利です。

カンポサントに隣接する黄色い建物にチケットオフィスがあり、当日券を購入することも可能です。ピサの斜塔とチケット売り場のある黄色い建物の間の広場には、美しい「堕天使の像」が横たわっています。

後頭部と腕や足のない堕天使。背中の羽にも顔が彫られています。この堕天使はポーランドの彫刻家、イゴール・ミトライの作品です。


ピサの斜塔に登って傾きを体感!360度のパノラマ絶景も!

ピサの斜塔に登るとその傾きを体感できます。斜塔の上から眺めると堕天使の像もかなり小さく見えます。高さは58.36mなので、ドイツのケルンやウルムの大聖堂の塔などと比べるとそれほど高くはありませんが、塔の上で傾斜を体感すると滑り落ちそうな怖さを少し感じます。

大理石の螺旋階段は年月とともに中央部分が削れてすべりやすくなっているだけでなく、登っている時も傾いている方向に引っ張られるような感覚になるので、ピサの斜塔に登る場合は滑りにくく歩きやすい靴がおススメです。

最上階にはそれぞれ音色の違った大きな鐘が5つ、小さな鐘が2つあります。この七つの鐘を鳴らすと振動で塔が更に傾く可能性があるため、現在は鐘を鳴らさずスピーカーから鐘の音を流しています。

礼拝堂や大聖堂は時間により閉まっていることがあります。それぞれの建物の入口に入場時間が描かれているので、ドゥオモ広場の大聖堂、洗礼堂、墓所回廊(カンポサント)を時間に合わせて順番にゆっくりと見学してからピサの斜塔に登り、夕日に照らされた美しい風景を眺めてピサでの一日を終えるのもいいかもしれません。


大理石で作られた回廊型の墓所カンポサントとフレスコ画

アーチ型の柱で囲まれた大理石の回廊型の墓所、カンポサントは1277年に建てられ、14世紀には壁面を当時の著名な画家達によるフレスコ画で飾られました。第二次大戦中に爆撃により破壊されましたが、現在は建物もフレスコ画も丁寧に修復されています。

写真はカンポサントのフレスコ画「三人の生者と三人の死者」、「死の勝利」につながる「最後の審判」と「地獄」の一部です。丁寧に修復されたこれらのフレスコ画は2018年6月にカンポサントの元の壁面に戻されました。

黒死病と呼ばれ恐れられたペストの流行後に描かれたこのフレスコ画を眺めていると、死の恐怖に包まれた当時の人々の様子が伝わってきます。


ゆっくりとみて回りたいピサの大聖堂、ドゥオモ

ピサの大聖堂は十字型をしたロマネスク建築で、ファサードの中央扉の上部には「聖母と四天使」のモザイクが埋め込まれ、その上は4層のアーチと柱で飾られています。大聖堂の中はとても広く、メディチ家の家紋が彫られた豪華な黄金の天井やレリーフなど内装のすべてが美しく目を奪われます。大聖堂に飾られた繊細な彫刻やモザイクを一つ一つ見て歩くにはある程度の時間が必要です。

ドゥオモの中央には「ガリレオのランプ」が高い天井からつるされています。写真のピンクのTシャツを着た女性が見上げているシャンデリア風のランプが「ガリレオのランプ」と呼ばれているものですが、このランプが設置されたのは1587年。1583年にガリレオが「振り子の等時性」を発見した後になります。ガリレオが見たと言われている当時ここに飾られていた小さなランプは、現在カンポサントのアウッラ(Aulla)礼拝堂に設置されています。

「ガリレオのランプ」の背景にある中央祭壇の上には金色に輝く「玉座のキリスト」のモザイク、左横にはジョヴァンニ・ピサーノが繊細な彫刻を施し制作した、彼の代表作でもある美しい説教壇があります。

夜になるとドゥオモ広場の建物がすべてライトアップされます。夜空とのコントラストも素晴らしく、昼間とはまた違った印象を受けます。

半日から一日で観光できるピサとドゥオモ広場の世界遺産。イタリア旅行で是非立ち寄ってほしい場所の一つです。


ピサの斜塔とドゥオモ広場の基本情報

ドゥオモ広場の建築物:
鐘楼(ピサの斜塔)、大聖堂、洗礼堂、墓所回廊(カンポサント)
住所:Piazza Duomo 17, 56126 PISA
アクセス:ピサ・チェントラーレ駅からドュオモ広場まで徒歩約20分