更新日2024-02-02   公開日2020-08-21

西暦79年のヴェスヴィオ火山の大噴火により地中に埋もれてしまったポンペイは、「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域」として1997年にユネスコ世界遺産に登録されました。約2000年前の遺跡とは思えない保存状態で、当時のポンペイの人々の質の高い豊かな暮らしがうかがえます。発掘されている面積は44ヘクタールで東京ドームの約10倍!観光前に見どころをチェックして効率よく回りましょう。


ポンペイ・スカービィ秘儀荘駅から「マリーナ門入口」へ

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

ポンペイ遺跡の「マリーナ門入り口」に着いたら、Info Pointで詳細が日本語で書かれた無料の小冊子と地図をもらって、「マリーナ門」へ進みましょう。門の手前には「郊外の浴場」があります。そして門を抜けると右手に「バジリカ」、左手に「アポロ神殿」、そして「フォロ」へ。

2000年前の街を徘徊できるのですから遺跡好きにはたまりませんが、じっくりと見て回ると一日中歩き回っても時間が足りません。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

門から続くマリーナ通り沿いのRegioVII(第7地区)とRegioVIII(第8地区)の2つの地区に見どころが集中しています。ここはかつてのポンペイの中心地で、「フォロ広場」に面して北西に「ジュピターの神殿」と「市場」、西に「穀物倉」、南東に「コミティウムと市庁舎」、「体育場」などの公共施設が集まっているので、フォロを中心に周辺を見学していくのがおススメです。


ジュピター神殿、アポロ神殿とフォロ周辺の建物

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

「ジュピターの神殿(VII.8)」はヴェスヴィオ火山を背景に左右にアーチ型の門を備えています。ポンペイがローマの植民地になると神殿には更に手が加えられ、フォロ広場を彩る神殿となりました。Lucius Caecilius Jucundus家(V.Insula1.26)のラル神の祭壇にある小さなレリーフに当時の様子が彫られています。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

ジュピター神殿とアポロ神殿の間にある大きな「穀物倉(VII.7)」。現在は出土品9千点以上を保管する倉庫として使われています。

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穀物倉には出土品の壺などのほか、噴火の犠牲者や犬の石膏型も保存されています。

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アポロ神殿はポンペイで最も古い信仰場所の一つで、出土品から紀元前6世紀のアルカイック期には既にここに建っていたことが確認されています。写真の中央に映るアポロン像はレプリカで、ヘレニズム時代の作品であるオリジナルのブロンズ像はナポリの考古学博物館に保存されています。円柱が建ち並ぶ敷地の中央には祭壇があります。


古代ローマのスタビア浴場

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

紀元前2世紀まで遡ることができる古代ローマで最も古い浴場のひとつ「スタビア浴場(VII.1.8)」は、広い中庭を囲むように建物が配置されています。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

この時代に壁の中の配管を巡る暖房と、窯の熱い空気と移動可能な火鉢で温める2重構造の床暖房が完備していたというから驚きです。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

壁や天井は美しい絵やレリーフで彩られ、円形浴槽のドーム型天井にはガラスの天窓があります。男性用と女性用に分かれた施設にはそれぞれ低温、中温、高温の浴室があるとても贅沢な施設。ジュピター神殿の後ろに位置する「フォロ浴場」のレリーフも美しいので、二つの浴場を是非見比べてみてください。


ポンペイの娼館・ルパナーレ

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

スタビア浴場の入り口から西側へ浴場沿いに入った横道にある2階建ての建物は「娼館・ルパナーレ(VII.18)」です。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

ここでは主に東方やギリシャ女性の奴隷たちが働いていました。2階はオーナーと奴隷たちの住居で1階には2畳ほどの小さな部屋が5つ。部屋には石の作り付けベッドが置いてあり、当時はその上に寝具を敷いていました。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

外国人客も多く、言葉が通じなくても受けられるサービスが見てわかるように壁には絵が描かれ、今でも色鮮やかに残っています。


ポンペイ遺跡内で30軒以上も確認されているパン屋

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

娼館を北方向に進むと石のひき臼とパン窯が残る「パン屋(VII.19)」があります。パン屋は遺跡内で30軒以上確認されていて、VI.7でも大きなひき臼とパン窯を見ることができます。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

この「パン屋(VII.19)」からは少し離れていますが、「大運動場(II.6)」の回廊にはポンペイで発掘された当時のパンが展示されています。

ルパナーレ通りを再びスタビア浴場に沿って戻り、まっすぐ進むと「サンニウム人の体育場(VIII.9)」、「大劇場(VIII.10)」、「劇場のクアドリポルティコ(VIII.11)」、「小劇場(VIII.12)」などの大きな施設が続きます。


ポンペイの有力者の住居や洗濯屋とテルモポリウム

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

RegioVIIIの東に隣接するRegioIには邸宅や農園など14か所の見どころがあります。中でも「メナンドロスの家(I.7)」は広い中庭を囲む円柱で支えられた回廊があり、手を加えれば今でも住居として使えそうな大邸宅です。ネロ帝の2番目の妃の親戚で、ポンペイの有力者ポッペイ一族の住居でした。

同じくポッペイ一族の住居だった「チェトラ奏者の家(I.1)」は2700平方メートルに及ぶ広さですが、屋根がないので壁に囲まれた迷路を散歩しているような気分になります。ここから「カスカ・ロングスの家(I.2)」と「ステファヌスのフロニカ(I.3)」へ。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

洗濯場を営むステファヌスの家には「ポンペイの赤」で彩られた壁画が残り、アナトリウム中央の雨水を溜めるインプルヴィオの部分には大きな洗濯用の貯水槽が置かれています。入り口付近で貨幣とともに発掘された人骨は、売上金を持って災害から逃れようとしたステファヌスだと言われています。

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「ヴェトゥティウス・プラキドュスの家とテルモポリウム(I.10)」ではカウンターの穴にかめが入れられ、温かい食べ物や飲み物が提供されていました。このようなテルモポリウムはポンペイで89か所発掘されています。

ここでは発掘時にテラコッタ製のかめの一つから、最後の売上金だと思われる約3キロもの貨幣が見つかりました。カウンターの横から奥に進むと、長椅子に横たわり食事をいただく饗宴用のトリクリニオやフレスコ画で彩られた住居につながります。


円形劇場から対極に位置する秘儀荘へ

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

「円形劇場(II.5)」は古代ローマ時代の遺跡の中でも最古の劇場で収容人数は2万人。大勢の観客の移動を考え、中心地から離れた場所に作られました。写真は円形劇場の外部に設置されている階段の一つで、左右両方から上層階へ登れ、スロープで下層階へ移動できるように設計されています。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

円形劇場の西側には回廊で囲まれた屋外の「大運動場(II.6)」があり、回廊には発掘品が展示されています。この付近はブドウ畑だったので、当時と同じ種類のブドウを試験的に栽培しています。ブドウ畑が続く田園風の眺めの先にはヴェスヴィオ火山がくっきりと見えます。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

ノッチェーラ門(II.9)を通り抜けたところには記念墓碑が建ち並ぶネクロポリスがあり、ここも興味深い場所の一つです。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

円形劇場と秘儀荘は遺跡の対極に位置しているので、IX、V、VI地区へとヴェスヴィオ火山方面に向かいます。途中の「スタビアナ通りのマルコ・ルクレツィオの家(IX.1)」は細かく美しいモザイクのあるアナトリウムと大理石の噴水が目を引く邸宅です。

その先のVI地区には「犬に注意」と刻まれたモザイクで有名な「悲劇詩人の家(VI.4)」、「黄金のキューピッドの家(VI.12)」、「ヴェッティの家(VI.11)」、「ディオスクーリの家(VI.10)」、「サッルスティオの家(VI.8)」など保存状態のいい大きな家が続きます。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

「エルコラーノ門」を抜けると、ポンペイで最も壮大な3500平方メートルの敷地を持つ「ディオメデスのヴィラ(VI.21)」で、その隣が「秘儀荘(VI.22)」です。ギリシャ神話のワインと豊穣の神・デュオニュソスの信者の儀式がフレスコ画に描かれているため「秘儀荘」と呼ばれています。

イタリアの世界遺産・ポンペイ遺跡

帰りは秘儀荘の出口から出ると、ヴェスヴィオ周遊鉄道「ポンペイ・スカヴィ・秘儀荘駅」です。

ポンペイ遺跡はいたるところに美しいモザイクや壁画、興味深い建物が建ち並び、ご紹介したルートを回るだけでも6~7時間はかかります。ポンペイ遺跡公式サイトのVisigting Infoから日本語の小冊子と地図がダウンロードできるので、旅行前に目を通して見逃したくない遺跡をチェックしてから出かけることをおすすめします。

<イタリアの世界遺産 ポンペイ遺跡の基本情報>
所在地:Pompei Scavi – Villa Dei Misteri
電話番号:+39-81-85-75-347
アクセス:ヴェスヴィオ周遊鉄道「ポンペイ・スカヴィ・秘儀荘駅(Pompei Scavi-Villa Dei Misteri)」からマリーナ門入り口まで徒歩約1分。

最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
(この記事は2020年9月にLINEトラベル用に執筆したものを自身のブログに移して更新したものです。)